ジキルハイド症候群
「学校……行く。」
「駄目よ」
寝てなさい、とお母さんがあたしの手を掴んだ。
このままベッドに戻されたら今度こそ動けなくなる。その確信があった。
駄目って何。あたしは学校に行くのよ。行かなきゃいけないの!!
バッとその手を振り払うと、お母さんは目を見開いた。
それもそうだろうと思う。今までお母さんに反抗したことはなかったから。
「恵里?」
「行かなきゃ……いけないの、」
お母さんを押し退けるように一歩踏み出す。
「―――茉里ね?」
「………」
肩越しに振り返れば、眉を下げたお母さん。
そして、荷物を置くと、ドアを開けてくれた。
「………送るわ」
「………」
車に向かうお母さんの背中をあたしは、じっと見つめていた。