ジキルハイド症候群
車に揺られながら、あたしは意識を保っているのが精一杯だった。
体全身が熱い。
ちらりと横を見れば真剣に運転しているお母さん。
お母さんが今何を思っているかは分からない。
ジッと見つめていると、お母さんは前を見ながら口を開く。
「茉里が何かしたの?」
「………」
「ずっとあの子、気になってはいたのだけど……」
「?」
信号が赤になって車が止まる。
「貴女達、仲が悪いでしょ?」
「…………」
「姉妹の問題だと思ったから何も言わなかったんだけど」
信号が青に変わる。
お母さんは哀しそうに眉を下げていた。
「どこで歪んでしまったのかしらね」
「………」
あたしにも、分かんないよお母さん。
車に揺られながらあたしは座席の背に体重をかけた。