ジキルハイド症候群
それは、本人から聞いた。
「初めてらしいよ?好きな奴出来たの」
顔が良いから嫌でも女は集まってくる。だのに蒼真は誰一人相手にしなかった。
「見た目そんななのに、かなり一途」
クスリと笑みを深める。
「まぁ、ケンカとかになると血も涙もない奴だけど」
基本喋らないし、売られたケンカは必ず買う。
生傷絶えないどうしようもない奴だけど、ある日突然『好きな奴が出来た』と言ったのには驚いた。
「恵里ちゃん、妹いるでしょ?この前ね俺間違っちゃったんだよね」
少し遠くにいたから分からなくて、蒼真に恵里ちゃんだ、と言うと蒼真は直ぐに眉間に皺を寄せて、『あれは違う。妹だ』
「俺だって二人の違い位わかるけどさ、蒼真は一瞬で否定したんだよ?」