ジキルハイド症候群
「え、あ、うん」
「ほら、蒼真ってあんまり話さないでしょ?表情も豊かじゃないし……」
那祁の説明に、あれ?と思う。
那祁の言う蒼真と、今日の蒼真とは被らない。
あたしと話した蒼真は沢山話していたし、表情も豊かとは言わないけどそれなりにあったように見える。
そう那祁に言うと、恵里ちゃんは特別だからだよ、と良くわからない返答が返ってきた。
「喧嘩もよくするしね。そうだな……俺は、蒼真の保護者みたいな感じ」
ほっとけないし、支えてやりたくなる。何かあったら助けてやりたい。正しく保護者だ。
「そうなの……」
那祁は心の広い人だと思った。
思いやりのある、優しい人。
あたしが持ってないものを持ってる。
茶髪なのに。