ジキルハイド症候群



「なんか、変なこと考えてない?」


怪しげに見つめられ、あたしは首を振る。じぃーっと穴が開くくらいにあたしを見つめていた那祁は、まぁいいけどと視線を緩めた。


「これからは、恵里ちゃんもその対象に入るからね」

「………え?」

「学校での恵里ちゃんの保護者は俺」


何かあったら何でも言ってね。


頼るつもりもないけれど、取り敢えず頷いておくことにした。
あたしが頷いたのを満足そうに那祁は、自分のコップが空になっているので新たな飲み物をつぎに立ち上がる。


「これから、楽しみだね」

「………」


楽しい、のだろうか?
あたしは、台所に消えた那祁の背中を見つめた後、蒼真を見下ろした。


銀色に染められた以外は綺麗な真っ黒な髪。あたしは、そっと手を伸ばす。触れてみると柔らかい触り心地のいい髪だった。


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