ジキルハイド症候群
「っなにするのよ!」
キッと睨み付けられても、亜理砂は強かった。
「謝るくらいなら初めからやるなって話。」
「っ」
「これで、もう終わりにして」
全部、もうやめてほしい。
亜理砂は顔を歪ませながら笑うと、あたしの側まで戻ってくる。
今にも泣きそうなくらいに亜理砂は目一杯気を張っていた。
あたしは、亜理砂の手をとると、歩き出した。
振り返らない。
もう二度と起きることのない。
そう信じたいと思う。
あたし達が、出ていった後は知らない。
彼女達がどうなって、蒼真達が何をしたのか知りたいとも思わなかった。
「っわあぁぁぁん」
ただ、屋上で声が枯れる位に泣き叫んだ亜理砂の痛々しい姿は、忘れることはないだろう。