桜の葉
「サ、ク、ラ。あの男、誰?」

「あの男って?」


アタシは、ペシッと倉石の手を振り払う。


「毎日手ぇ繋いで学校に来てる奴だよ。」

「シツコイなぁ。毎日聞かないでくれる?」




倉石は、本当に毎日毎日同じ質問をしてくる。

弟だって言ってるのに。





……って。




「……何してるの?」

倉石は、両手でアタシの片手を握り、頬擦りしていた。

それから、グィッとアタシを引き寄せて、顔を近付けて来る。



アタシは。



倉石のネクタイを、ガッと掴んだ。
表情を変えずに。



「キスとかしたら、今ココで●タマ蹴るよ?」




「っっ///!?」




倉石は、パッと手を離す。

本当、何がしたいの。この男。


「っっふ、普通、Σきゃー///?!とか言わねぇかっ!?しっ、しかも女がそんな言葉言うかっ!?」

「何で?」



アタシは、倉石を放っておいて。 美都の後ろに座った。

美都は少し呆れた顔で、アタシを見てくる。



「朔良……あんた……。」

「ん?」

「倉石って、結構人気あるのよ?」

「ほぉ?」




アタシは鞄をゴソゴソしながら適当に相槌を打つ。


「興味ない……って……ぁあああっ!!」

「っ!?どしたの?!朔良っ」

急に立ち上がったアタシに、美都はかなりビックリしたようで。
胸の辺りに手を当てて、少し涙目。




「葉から、『弁当』返して貰うの忘れたっ!!」


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