桜の葉



「……ねぇちゃん、ソイツ、誰?」



葉が、可愛い顔をプクッと膨らませて倉石を睨んだ。


「倉石ヒカル君でぇっす君のお姉さんの彼s「じゃねぇから。」



アタシは、肘で倉石のお腹を殴った。

倉石は、グゥっと唸ってしゃがみ込む。



「………ヒカル?」

葉は、小さく呟く。
アタシは。


「く、ら、い、し。その名前は、呼ばない。」


首を横に振った。


「………。」


葉は、急に黙って下を向いてしまった。




「葉?」

「っ、ねぇちゃん、そう言えば、何しにきたの?」


葉は、話を逸らせるかのような笑顔を向ける。

…何か隠してるね?



アタシは解ったけど、何も聞かない。
光の名前を聴いてしまうと、泣きそうになるから。



「あ、そうだ。アタシの弁当、葉持ってるでしょ?」


アタシが言うと、葉は妙な笑顔で。



「げげげっ?気付いたっ!?」
と言いながら、一歩アタシから離れた。




「気付いた?って、どういう意味。」



葉は、爽やかに明後日の方向を向いて微笑した。



「食べちゃった」




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