桜の葉
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夜。


アタシは、いつもの通り、葉の家に居る。

葉のお父さんは、外資系の仕事をしていて、ほとんど家に居ない。

だから、アタシが葉のご飯を作ってあげてるのだ。




「葉~?何食べたい?」

「酢豚ッ!!!」



葉は、ソファーから身体をガバッと起き上がらせて、眼をキラキラさせる。


「オッケ。予習終わった?」

「ぅ……まだ。」

「30分で終わらせなよ。」

「はぁい。」


アタシは、玉ねぎの皮を剥き始めた。すると、葉がアタシの隣に来る。



「終わったの?」
アタシが聞けば、

「うんッ。」
と答える葉。



「嘘つけ。」
苦笑するアタシに、葉はピースして見せて。

「オレ、手伝うッ!」

言うが早いか、葉は、ピーマンを切りはじめた。
意外に手際が良い。
ってか、手先器用なんだよね、葉って。



「ねぇ…朔良ねぇちゃん…。」

「何?」


不意に、葉は口を開いた。



「あの倉石って奴のコト、好き?」

アタシは、昼間の二人の様子を思い出す。

葉が、倉石がアタシに近づく度に手を振り払ったりしてて。


アタシはまたしても、光が生きてたら、こうやって兄弟喧嘩するのかなぁ…なんて想像する。


それにしても、倉石が好きかって?


「どぅいう意味で聞いてるの?」
「恋愛って意味で。」


相変わらず、葉は直球だ。
ねぇちゃんに彼氏出来るのが嫌~、とか言うのかな。

可愛い奴。


「恋愛感情はないな。」


アタシはキッパリ言い切った。
葉は、本当?って感じで、ジッとアタシを見る。


ん?



「じゃあ、朔良はっ、まだ光兄ちゃんが好きっ?」

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