桜の葉



アタシは、あまりにも真剣な葉の表情に、ちょっと驚いた。


「コラ。ねぇちゃんって呼びなさい。」


アタシが軽くそぅ言えば、

「っ答えてよっ!!」
と、必死な葉。



ほぇっ?
どしたんだ?葉?




いや……だって。
光が好きなの?なんて。
愚問でしょう?




「大好きだよ。」



当たり前じゃん。
アタシは、躊躇いなく答えた。



「今も昔も。これからも。」






「ッッッオレのコトは?」


葉は、今度は泣き出しそうに顔を歪めながら聞いてきた。




アタシは、その時は気付いてあげられなかった。
葉が、どんな気持ちで、この台詞を言ったのか。




アタシは、剥き終わった玉ねぎをまな板の上に置く。



「どぅしたの?アタシは、葉も大好きだよ?」



だからアタシは、こぅ答えた。
葉の頭を撫でながら。


「大事な弟だもん。」


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