桜の葉


葉は、少し嬉しいような、怒ったような……不思議な表情を浮かべた。


大事な弟……。
アタシは、そう思ってるから。



葉が黙ったから、アタシは、包丁を取ろうと手を伸ばした。



でも。
その手を、葉が急に掴んだ。



「葉?」



振り向いた瞬間。





アタシの視界に、葉の綺麗な薄い茶色の髪が映った。

それから、長いまつげ。



アタシは。






葉にキスされていた。



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