桜の葉


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+++ 葉side



朔良ねぇちゃんは、優しくて鈍い。



小さい頃、オレは、母さんと兄ちゃんを同時に亡くした。

悲しくて悲しくて…
淋しくて寂しくて…


心が、潰れそうだった。

父さんのショックもでかかったらしく……前にも増して、仕事人間になってしまった。


小さかったオレには…それも淋しくて仕方なかった。
せめて、父さんには傍に居て欲しかった。


でも、父さんは、
『葉。父さん、葉の為に、一生懸命働くからな!』
って。

オレの為……なんて言われちゃったから、オレは寂しいなんて言えなくなった。



そんなオレに気付いたのは、朔良ねぇちゃん。
オレの傍に、朔良ねぇちゃんは居てくれた。


『アタシはねぇちゃんだから、傍に居てあげるわ。アタシが葉の面倒みるね~♪』


なんて、妙に嬉しそうにジャンプした朔良ねぇちゃん。

その日から、本当に毎日毎日、朔良ねぇちゃんはオレの傍に居た。


別の方向なのに、小学校まで迎えに来てくれたり。
買い物行く時も、遊びに行く時も、必ずオレを連れて行った。



オレは、朔良ねぇちゃんが大好きだ。




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