桜の葉

……さてと。



アタシは、ベッドから降りて、葉の机をガッと勝手に開ける。

……解ってる。
プライバシーの侵害だよね?


でも。






アタシは、煙草がどこにあるのか探す。
……まさか、薬までやってないでしょうね?



アタシは、もっと葉を信用してあげるべきだった。
だけど、気になって仕方なかった。




三番目の引き出しを開けたところで……アタシの手はピタッッッと止まった。





「……ッッッ光のだッッッ」







光の大事にしてた、携帯ストラップが、そこにはあった。

二人で買った、お守り。

『サクラサク』

って書いてあって、二つ。和柄の桜がつながっている。





『アタシ達、まだ受験ないよ?』

アタシが笑うと、

『ぇ、でも俺は桜好きだもん。』
って光が答えた。





『サクラ』好きだ……の言葉に、アタシはドキッとしたのを……覚えてる。





アタシは、過去に戻り過ぎてた。
だから、葉が階段を上がって来る音にも気付かなくて……





「ッッッ!!勝手に机開けないでよッッッ!!」



って言う…葉の大声で、我に返った。

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