桜の葉
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ッッッヤバイ。


涙が出そうになったアタシ。

それを我慢して…やっとアタシの唇から離れた葉を、アタシは真っ直ぐに見た。

ずっと無言のまま。





葉にされるがままのアタシ。
抵抗を諦めた訳じゃない。
こんな形で、こういう事を経験したい訳じゃない。



アタシは、ただ……。
葉に気付いて欲しかった。




こんな事、しないで?





何をされても、絶対に眼を逸らすもんか。
アタシは、唇の裏側を強く噛んでいた。




……アタシは……。
自分の心を殺しすぎかもしれない。







しばらくして。
葉は、手を止めた。



「何で、抵抗しないの?朔良ねぇちゃん…。嫌じゃ、ないの!?」






「……離れなさい?葉。」

アタシは、抑揚のない低い声でそうはっきり言う。

葉は、黙ってアタシから離れた。



せっかく朝に整えた髪も、制服もぐしゃぐしゃだった。





「こんな風にされて、嬉しい人なんか、居ないでしょう?」


アタシは、制服の乱れだけ直した。
手が……おかしいくらい震えてるのを、アタシはごまかして。




アタシは、葉の部屋から出た。







……葉が、何かおかしい。



アタシは、さっき自分が襲われかけたっていうのに…。
馬鹿みたいに、葉の心配をしてた。


そんなに心配してるのに。
気付いてやるのは遅いんだ…アタシ……。


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