桜の葉
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「葉、ご飯出来たよー?」


バターンッッッ。
アタシは、足で葉の部屋のドアを開けた。


「ッッッ?!」


葉は、心底驚いた表情でこっちを見た。

葉は、さっきアタシが部屋を出た時と同じ場所で、同じ格好のまま…居たみたいで。

まだ上半身裸だった。



アタシは、ツカツカと部屋に入って、朝食を机に置くと、近くにあったタオルを掴んだ。




「いつまでそんな格好してんの~。風邪ひくでしょう?」


アタシは、ワシャワシャっと葉の髪を拭いてやる。


「わぁぁぁあぁっ//!?いいッッッ痛いよッッッねぇちゃん!!??」

「我慢しろ。」





ある程度拭き終わると、アタシはくるッッッと後ろを向いた。

「ご飯食べたら、学校、来なさいね。」




そのまま、部屋を出ようとしたアタシ。

でも。

葉の、いつもの明るい返事がなくて。



……まぁ、当たり前なんだけどね?
アタシを襲っておいて、平然としてたら赦せん…!!



……じゃなくて……。


アタシが振り返ると……葉は、俯いたまま、泣いていた。






………中学生とはいえ、まだまだ幼い。
ついこの間まで、小学生だったもん。
当たり前だよね。




アタシは、小さくため息をついた。



やっぱり、放っとけないんだな……アタシは……。




「葉?」



アタシは、再び部屋に戻る。
学校は、もぅ遅刻だなぁ。



「葉ッ。」

バチーンッッッ
アタシは、葉の両頬を叩いた。

涙に濡れた眼のまま、葉はやっとアタシを見る。
大きな瞳で。


「ご飯食べたら、私服に着替えなよ。どっか行こう。」

ニッ。
アタシは笑う。


「葉の服。借りるからね。」

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