桜の葉
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……確かにアタシ…目の前の人見てないのかなぁ。


アタシは、倉石を見ながら思った。



倉石は、アタシを見てにっこり笑う。

「そろそろ、俺が好きになった?」


……。
有り得ないから。


アタシはわざとらしく溜息をつく。


「ばぁか。」


クスクス笑えば、倉石が手を繋いで来る。

「何?」

「俺も、朔良と手を繋いで歩きたい。」

「何で。」

「好きだから。」

「ほぉ?」



アタシは、ペイッと手を振り払った。


「アタシ、倉石キライじゃないけど、恋愛感情ないの。」


「……朔良って、誰が好きなんだ?」


倉石は、怒った様子もなく、アタシに振り払われた手を、もう片方の手で触れる。


「アタシは……。」





光の顔を想い浮かべる間もなく。





アタシは、信じられないモノを見た。



バババババババッッッ
ドゥッドゥッドゥッドゥッドゥッドゥ!!




けたたましい音を鳴り響かせて、メットも被らない兄ちゃん達がバイクで通り過ぎて行く。


アタシが驚いたのは、そんなコトじゃなかった。








「葉ッッッ!!!!???」





そぅ。
バイクの後ろに乗ってたのは……


見間違うはずもない……




葉だった。





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