桜の葉
--------------------------------------------------------------------------------
「ッッッ!!!!」


アタシは、無意識に駆け出していた。
追い付くはずもないのに。



「朔良ッッッ!!待てよッッッ!!」
その後を、倉石が追う。
そして、アタシの手を掴んだ。



「何ッッ?!」

「待てって!!どこ行くつもりだよッ!?」



そう言われてみれば…確かに宛てはない。
アタシは、唇を噛んだ。




どうして、葉が、暴走族のバイクに乗ってるのか。
アタシにはさっぱり理解出来ない。


それでも、アタシは……


「ッッッ族が集まりやすいのって、工場ッッッ?!港ッッッ!?」



アタシは、倉石に手を掴まれたままで怒鳴る。


「アタシは探すッッッ!!!」

「だから落ち着けッッッ朔良ッッッ!」


アタシよりデカイ声の倉石。
アタシは、少しびっくりして…一気に頭が冷めた。


「仮に、そこに葉が居たとしても、朔良を一人で行かせない。」


倉石は、アタシの両手を掴んだ。

「解ってるか?ああいう連中の中に女が一人乗り込んだら、どうなる?!」




倉石は、真剣な表情をしている。
こんな顔も、





するんだね。





いつもヘラヘラ笑ってるから、アタシは知らなかったよ。


…というか…
アタシ……


誰かに心配されたの…久しぶりかもしれない。

何だか、むず痒い。

< 40 / 70 >

この作品をシェア

pagetop