桜の葉
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「朔良!」



アタシが外に出ると、倉石が小走りにやって来た。

かなり走って来たのか、息が上がっている。




「そんなに慌てなくて良かったのに。」

「待たせると、一人で行きそうだし。」



倉石は、息が若干上がったままでそう言った。

アタシは苦笑する。
当たってるから。




「で?葉が行きそうな場所は?」

「…………。」



葉が、行きそうな場所…。
どこだろう?


アタシは考える。
そういえば、アタシは…出かける時は必ずと言って良い程葉と一緒なのだけど……。




……葉は………?



…………。
「わかんない。」


アタシは、倉石を見上げて言った。

「どぅしよう。マジでわかんないッッッ」


アタシ、どんな顔してたんだろう?
倉石は、急に真面目な顔して、アタシの顔に触れる。


アタシが真っ直ぐ倉石を見れば……


ニコッ。


倉石は笑った。


「それなら、朔良が葉と良く一緒に行く場所に、行こうぜ?」
「………。うん。」



素直に頷くアタシ。
倉石が頼もしく見えた。


……ぅぅん。
でも…やっぱり、シッカリしなきゃ。





甘えたい気持ちを押し込めて。

アタシは、自分の両頬をパチンと叩いた。





シッカリしろ、アタシ。





アタシは、歩き出した。
倉石と一緒に。

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