桜の葉
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「居ないなぁ…。」



良く行くお店は閉店。
公園にも人気はない。
港が見える場所にはカップルばかり。


時間は、0時を超した。




「倉石。」

アタシは、一緒になって探してくれてる倉石の袖を引っ張った。


「もぅ良いよ。アンタ、明日も学校じゃん。後は…「朔良一人にするつもりねぇからな。」


倉石は、真正面からアタシを見た。


「もう遅いし。悪いよ。」

「ばぁか。朔良放って帰ったら、一生後悔するし。」



倉石は、笑う。
アタシは……倉石から手を離した。


……慣れてないんだ、アタシ…こういうのに…。

ヤバイ…
また涙腺が……



「朔良…?」



急に俯いたアタシに、倉石が怪訝そうな声をかけてくる。



……ダメだ。
何か変だ。アタシ。



何で、涙が出そうなのか、自分でも良く解らない。



アタシは、深く息を吐き出して、落ち着こうとする。

そうしたら……



ふぁっ。



急に、倉石がアタシを抱きしめて来た。

ッッッ?!


バッ。
アタシは、咄嗟に倉石から離れた。



「…何?」





アタシはいつもの顔を取り戻した。


「朔良。泣いたって良いだろ。何で我慢してんだよ?」

「別に平気。」



そぅ。
泣きたい訳じゃないもの。



そんな時。




アタシの携帯が鳴った。
「葉だ!」


アタシはメールを開く。

『今日は友達の家に泊まります連絡遅くなってごめんなさい(>_<)』

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