桜の葉
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夕方。


アタシの両親が、血相変えてやってきた。

おばさんの姿を見るなり、アタシの母さんは、崩れ落ちるように泣き出した。



アタシはそれを目の隅に留めて。
ひたすら光を見つめた。



お願い。
起きて?

起きてよ………。




光。
アタシ…あんたにまだ伝えてないよ。




『俺さぁ、朔良が好きだから!』



アタシも好きだよ。
好きだってば。



『朔良が隣に居ると安心する。何か、良いよな。』








気付くと、アタシは椅子でうとうとしてた。
隣で、葉も、泣き疲れて寝ている。



まだ、光は目覚めない。


頭を、強く打ったって。
ぶつけてきた車の運転手は無事なんだって。



………ふざけんな。
アタシは、憤りを感じて、立ち上がった。


急に悲しみまで込み上げてくる。



嫌だよ?光。
置いてかないでね。



光。
早く…早く目を開けて。
アタシは、両手を組んで目を閉じた。


カミサマ。
お願いだから。






祈りが通じたのか、光は……
翌朝早く。




目を覚ました。





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