君のいる場所



「ねぇ、結城さん」
「!はい、なんですか?」



昼休み、昼食を食べ終え自由時間中に初めてクラスの女の子に声をかけられた時だった。
ちょっと舞い上がった状態で、聞き返すと。彼女達は私の机を囲みながらマシンガントークのように喋り出した。



「結城さんは櫻井先生の事どう思う?」
「どう、とは?」
「櫻井久志先生の事!25歳で若々しい先生でとってもカッコイイ!大人の男ってやっぱりいいよねって話」
「は、はぁ…」



いきなり、何を言い出すんだろうこの子たち。



「でも、うちの学校で一番人気は神谷君だよね!」
「うん!王子カッコイイよね~」
「超優しいし~」
「いいよね~転校生って。ちやほやされてさ~わたしも転校生やりたかったな」
「そうだよね~。あ!ねぇ、結城さん!わたしたちも一緒について行っていい?」
「そう言えば女子の委員長、今日休みだし。神谷君一人じゃ大変だよね」
「ねぇ結城さん。いいでしょ?わたし達も行かせてよ」



何か……ヤダな。こういうの。

どんどん顔が下に向いていく。幸せな気分が逃げていくみたいに、降下気味になる気持ち。
それに気付きもしない彼女たちに悪気はないんだろう。

だけど…ちょっと、ヤダ。
そんな時だった。前の席の椅子が大きな物音をたてたのが。
豪快に椅子に座り、こちらへ身体を向けるとちょっと低い声で。



「たかが校内案内にそんなに居なくてもよくない?」
「き、岸本さん……」
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