ポリフォニー
帝都に下りるのは初めてではなかったけれど、来るたびにここは胸が躍る。
向こうの露天で何を買おう。
最近やっと相場、というものがわかってきたからあまりたくさん買いすぎないようにしなければ。
「ちょっと、お嬢ちゃんこれ食べてみない?」
声をかけられ止まったアルミナの目に止まったのは串刺しの揚げたパンにジャムがふんだんにかけられたものだった。
「おいしそう……」
「食べてみるかい?」
「うん!」
アルミナは店主からパンを受け取りほおばる。
揚げたてのパンはじゅっと音をたてて口のなかに甘みを広げた。
「すごい!おいしい!宮殿のご飯よりおいしいよ」
「おいおい、それは誉めすぎだ。あれには敵わないよ」
店主は照れたように言った。
「へえ、あの宮殿のよりおいしいって?」
「それは食べてみなきゃなぁ」
アルミナがあまりにもおいしいおいしいと言うものだから客が集まってきた。
アルミナは皆が楽しく騒ぐのを嬉しく感じながら眺める。
――これが、私の国。守るべき民なんだ……。
そのとき、アルミナは目の端にあるものを捕らえた。
「黒い髪……」
「ん?どうした、お嬢ちゃん」
耳ざとくアルミナの声を聞きつけた店主が尋ねる。
「ううん。なんでもないよ。おいしかった、ありがとう!」
アルミナはそう言うと、人ごみから抜け出して黒髪の後を追った。
向こうの露天で何を買おう。
最近やっと相場、というものがわかってきたからあまりたくさん買いすぎないようにしなければ。
「ちょっと、お嬢ちゃんこれ食べてみない?」
声をかけられ止まったアルミナの目に止まったのは串刺しの揚げたパンにジャムがふんだんにかけられたものだった。
「おいしそう……」
「食べてみるかい?」
「うん!」
アルミナは店主からパンを受け取りほおばる。
揚げたてのパンはじゅっと音をたてて口のなかに甘みを広げた。
「すごい!おいしい!宮殿のご飯よりおいしいよ」
「おいおい、それは誉めすぎだ。あれには敵わないよ」
店主は照れたように言った。
「へえ、あの宮殿のよりおいしいって?」
「それは食べてみなきゃなぁ」
アルミナがあまりにもおいしいおいしいと言うものだから客が集まってきた。
アルミナは皆が楽しく騒ぐのを嬉しく感じながら眺める。
――これが、私の国。守るべき民なんだ……。
そのとき、アルミナは目の端にあるものを捕らえた。
「黒い髪……」
「ん?どうした、お嬢ちゃん」
耳ざとくアルミナの声を聞きつけた店主が尋ねる。
「ううん。なんでもないよ。おいしかった、ありがとう!」
アルミナはそう言うと、人ごみから抜け出して黒髪の後を追った。