闇月桜そして闇
「中松さんってば。
今後とも宜しくお願い致します。」
ハルカは深々と頭を下げ、少年と共に部屋を去りー
山崎タカシの奥様という仮面を脱ぎ捨て
一人の女性として広い豪邸の一番奥の部屋へと入って行った。

だが

パーティーは夜遅くまで続いていた。



「ふぁぁぁっ。
まだ終わらないのかしら?」

「ヴァーナ様っ!
沢山の車がどんどん出ていきますよ?
チャーンスですよ!」

「やっとなのね?
なら、そろそろ前菜の準備を始めまショ?」


先程までパーティー会場だったホールには誰もおらず、

ハルカの部屋とは正反対の位置に有る奥の部屋から闇のオーラが流れ出ている。


ニィ。 ヴァーナは口元を歪ませ奥の部屋へと近づく。

「あー。面倒臭い。
あの胡散臭いオジサンに微笑むのも仲の良い夫婦を演じるのも、、、。」

「誰がお前に助けてもらったんだっての!
馬鹿馬鹿しい! 嫁さんがしっかりしてるから?
笑わせんなよ! アイツが部屋に若い男を飼ってんのは知ってんだ!
あー!!!! 面倒臭いっ! 何も要らない!
俺には酒と金がありゃ良いんだよ!
金がありゃ女なんてコロっと落ちやがる!」


「あひゃひゃひゃひゃひゃゃゃゃ!!!」

グラスに葡萄酒を注ぎ
一気に流し込む。

「いっそ
この面倒臭え世界を消しちまえばいぃんだよ?
俺が神になれりゃそれで上手くいくかもしれねぇ?
オジサンも嫁も子供も。 俺には必要ねえんだ!」

震える手で何度も何度も葡萄酒を
流し込む。

空いたグラスには

白いクマを抱えた少女が映る。


この壊れた若い男性の眼の前にはふわりと浮かぶ一本の日本刀。


「なら。
コレで消しちゃえばいいじゃない。
貴方の要らないもの、全部。そうすれば貴方は神になれるかもしれないわ?」





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