青空にさけぶ。
顔をあげた彼を見てびっくりした。
同じクラスの上木 湊(かみき・みなと)
だったからだ。
剣道部の副部長で勉強は地区内で5位以内。
でも 上木君の人気はそれだけじゃない。
少し茶色っぽい目
天然のくせっ毛
同じ剣道部や仲のいい男子にしか
見せない笑顔‥
儚げさと爽やかさを
合わせもった上木君は
女子の間では人気だ。
それだけじゃない
亜弓は上木君に片想いしてる。
あたしは興味ないけど。
『ながみね?』
上木君は
あたしの名字をゆっくり呼んだ。
『上木君、その台かして
辞書戻したいから』
上木君は亜弓の好きな人。
一緒にいるところを見られたら誤解されそうだ。
はやく台を借りて立ち去ろう。