青空にさけぶ。
『辞書なんて大して高いところにないだろ?どこの棚?』
あっち と
あたしは指差した。
『俺この台まだ使うから貸せない。辞書くらいもどしてやるから。』
台に登ったまま上木君は言った。
上から目線で言われると
すごいむかつく。
もちろんあたしは
上木君は好きじゃない。
『ほら、どこの棚?』
上木君が台から降りてきた。
『そんな高い場所でなんの本
読んでんの』
あたしは少しきつめに聞いた。
ほら と言って上木君が
差し出した本は
『戦国?』
思わずあたしの声が出る。
『戦国とか興味ないだろうけど』
そうやって
上木君がつまらなさそうに言うけど
『あたし好きだよ‥』
なんだか
そのつまらなさそうな上木君が
むかついて
『あたし好きだよ‥戦国』
つい
白状してしまった。