青い瞳のガレア
 ごく一部の例外を除いて、魔族は獣の始祖から何らかの能力を受け継いでいる。

 ガレアは烏の始祖から異変を予見する能力を与えられている。

 しかしほとんどの場合は、「いやな予感」程度のもので、幻視を見るほどの強い力を持つことは極めて希だ。

「その青い瞳。烏の黒に最も近い異端の印。あなたは何か、大きな役目を負っているのかもしれない」

 ガレアに後ろを向かせると、長い髪を結いながら、シャーラステアは続ける。

「だからといって、一人で抱え込むことはないのよ。烏は群を成すものでしょう」

 振り向かせると、ガレアはシャーラステアの胸に顔をうずめ、低い嗚咽を漏らす。

「…っ、泣いて、取り乱せるものなら、そうしたいっ…」
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