ヴァージンチェリー
同じボディソープの匂い。
息遣いが近い。

間近でみるとタクはやっぱり綺麗な顔をしている。

どのタイミングで服を脱がすんだろう。
服を脱ぐんだろう。

タクの下にいるのに少しもドキドキしていない私は、そんなムードのないことを考える。

ゆっくり近づいてくるタクの顔。

あれ? と思った瞬間、私、勢いよく起き上がってた。

ぶつかる筈の唇はぶつからず、ごちん、とぶつかったのは額と額。


「ったぁ!!」


あがった声は自分のものかタクのものかよく分からない。

とりあえず、涙が出るほど痛かった。
< 40 / 42 >

この作品をシェア

pagetop