あの時の君と俺。
「有くん、あたしが別れを告げられた時、どれだけ悲しかったか分かる?」
「く、来んじゃね―・・・あ」
もう俺の後ろにはドアしかなかった。
「とても悲しかったんだよ」
「くっ、来るな」
「寂しかったんだよ」
「来るんじゃね―っ」
「でも別れた後も有くんと学校で会えるから嬉しかった」
「悪かった!謝るから!」
「でも卒業して会えなくなっちゃった」
「正美っ!許してくれ!」
「だからねずっと考えてたの。
どうやったら、また有くんがあたしといてくれるんだろうって」
だんだん俺たちの距離が近づいていく。
「それで、考えて分かったの」
もう正美は目の前にいた。
ダメだ・・・逃げられない―――――――。
正美は白い顔で血を出してニッコリ笑った。