あの時の君と俺。
プルルルル
プルルルル
「出ねー」
「まだ有来ねーの?」
「電話しても出ねーんだよ」
「なんだ、あいつ?」
「今さっきの電話では、高校にいるって言ってたんだけどな」
「高校に?懐かしいな。でも校舎があってもメンバーはここにいるぞ?(笑)」
「そうだよな」
「もしかすると下田に会いに行ったんじゃねーの?」
「下田って下田正美?」
「そうそう。あいつ卒業してすぐ交通事故で死んだじゃん?」
「あぁ・・・でも有一はそのこと知らねーよ」
「なんで?」
「下田が死んだ時、血で『有くん』って書いてたらしいから、もう県外にいる有一に知らせても怖いだけだろ?
それにあいつらはずっと前に別れてたし」
「まぁな」
「だから、みんなで黙っていようって話しになったんだ」
「じゃあ、あいつ知らねーの?」
「おう」
「有一、こんなこと知ったらどんな表情するんだろうな」
「顔真っ青だろ」
「想像したら笑える」
慧と友人は有一がいま正美と会っていることなんて知る由もなかった。