あの時の君と俺。
「いや、同窓会行こうぜ。な?」
なんとなく今の正美と2人でいたくなかった。
「あたしと2人が嫌・・・?」
「ツッ」
高校時代に何度も見た正美の泣きそうな顔。
俺が断ることができない時のしぐさ。
ズルイだろ・・・。
「分かった。どこ行くんだ?」
何年経っても、正美のあの顔には負ける。
「高校行こうよ」
「高校?」
「うん。行こう?」
「あぁ」
母校に行ったのは、卒業以来。
高校の時の奴らと会うんだし、皆と会う前に高校行くのも別にいいか。
俺は軽い気持ちで正美と高校に行くことにした。
「有くんは仕事なにしてるの?」
「俺?俺は小さな店のシェフしてるよ」
「シェフか~。有くん料理上手だったもんね」
笑顔で褒めてくれる正美。
そういえば高校もこんな感じだったな・・・。
正美が話しを降って、俺が答えて、正美が褒める。
・・・そんなことでも今は懐かしい。