あの時の君と俺。


「あの時は緊張したよ」


「・・・そうだな」



正直俺は覚えていなかった。


俺は高校時代・・・いや、今の妻に出会うまで大の女好きで、

正美と付き合ってここでヤった時もただ欲求を満たすためで緊張なんて一切しなかった。



それに正美とここでシたことも、はっきり言って覚えてない。


ここで正美以外の色んな女を抱きすぎて覚えていなかった。



「あたし、あの時処女だったんだよ?」


「だと思った。体、震えてたしな」


これは嘘。大抵、初めての奴は緊張と不安で体が震えるものだ。



「そうだよ・・・それも学校。誰か来るんじゃないかと思って怖かったんだからね」


「あははは、懐かしいな」



誰か来るかもしれないスリルがあるから気持ち良いんだろ。


まぁそんな事言えないけどな。



次に俺たちが言ったのは2年生の教室だった。



「あたし、この席だった」


正美は窓際の1番後ろの席に座る。


「俺はここだったよな」


俺は正美の席の前に座った。


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