自分の中の自分
駅からの帰り道はなるべく自分っぽくするのに必死だった。
「知ってるか、ウルトラマンタロウは変身したとき、手をパーにして飛んでくるんだぜ」
未希の中の俺の印象はウルトラマンオタクだろう。だから、基本ウルトラマンの話しをしてたら俺らしいだろう。
「またウルトラマンの話だ‥長くなるから違う話」
そんなやり取りをしているうちに未希の家に着いた。「じゃあね朝輝、宿題わすれんな」
「おぅ、明日は完璧にしてやるよ」
いつも通りの俺だ。そう思い家に向かった。
両親は共働きだからいつもこの時間は一人だ。
「宿題でもやるか」
自分に気合いを入れようと独り言を言ってからリビングのテーブルに宿題を広げた。
真剣にやれば一時間もいらない量の宿題だった。
でも、宿題しようと思うと昼間の事が何回も邪魔をしてきた。
半ば無理矢理自分を納得させて宿題を終わらせた。
晩御飯を食べ、風呂に入ったがその時の記憶はほとんど無かった。
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