この涙を拭うのは、貴方でイイ。-大人の恋の罠-
一緒に育ってきたのに、どうしてこうも違うわけ…?
「うぅ、ひっ、く…」
正常に働かない頭のせいか、無性に泣きたくなってしまった私。
「あーあ、ゆーちゃん泣かせた」
「おいおい俺のせいか?
のん、ほらおいで…」
「うわぁああん」
泣きたい訳じゃないのに、やっぱり今日も泣いてしまった。
「のん、辛かったな」
「ひっ、く…――」
そして飛び込んでしまうのは、昔から安らげる私にとって大切な胸の中。
ふわりと、ムスクの男らしい香りが心を落ち着かせてくれる。
「わ、たし…もう、男、いらな…い」
いつもこの人だ!と思うのに、エンドは恋愛と呼べない結果が待っていて。
ただただ、フツーに恋愛してるだけなのに。
得たモノといえば、ダメンズの生態とタイプの知識ばかり。