この涙を拭うのは、貴方でイイ。-大人の恋の罠-
私の背中を支える手にグッと力を入れ、少しの間を詰めて尭くんへと近づく祐くん。
ふわりと鼻腔へ届くムスクの香りが、寝た事実を忘れようとさせてはくれない…。
ピタリと動きを止めた彼を所在無げに見ていると、その形の良い唇が動いた。
「のんが一番シタイ事を叶えれんのは俺だけ。
つまりぃ、部外者はお引き取りしてくれない?」
「んなの――」
ソレなんて気にしないという祐くんの発言に、尭くんの声が明らかな苛立ちを見せた。
あまりの身勝手な発言に悲しさを覚えるよりもまず、気になるコトがある。
祐くんの差す“私のシタイ事”って、いったい何…?