この涙を拭うのは、貴方でイイ。-大人の恋の罠-
勝手なうえ、問答。
その真意を尋ねたくても、聞けない雰囲気が蔓延する状況では口も開けない…。
「尭――…俺の顔が笑ってるウチに早く帰った方が良いぞ?」
「その理由は?」
突然に1オクターブ低くなった声音にも、淡々と返す尭くんは強者かもしれない。
だけどソレに対しククッと笑う祐くんこそ、いったい何を考えてる訳…?
「さっきのアレで、内心かなーり穏やかじゃないんだよ。
それにのんとは2人きりで、じっくり話すべき事があるし?」
軽く笑って言えるセリフじゃないし、じっくり話すべきことなど何も見当たらないし。
私のシタイ事とやらを放り、もう次へ話を進める祐くんが分からない。
だいたい穏やかじゃないなんて…、アノ日からずっと苦しんだのはコッチだ。
何より蘭さんがいるクセに…、どうしてそんな事が言える訳?