この涙を拭うのは、貴方でイイ。-大人の恋の罠-
「尭って、のんの何?」
「え…じょ、上司で、」
それに構う事なく、矢継ぎ早に尋ねられてしまえば困惑するしかないでしょう?
「“で、”――の続きがあるの?」
「い、いえ…」
「うん。そーだよな」
ちょっと待って下さい。そのニッコリ笑顔に黒いモノが見えますけども。
というより私こそ、“上司”のあとに何を続けようとしていた…?
「さて…――尭くんとの熱烈チューは何回目?」
「へ、な、なんで」
「それ聞くの?」
どこまでも立場の低い自分に嘆く間もなく、腰をグッと引き寄せられていた…。