この涙を拭うのは、貴方でイイ。-大人の恋の罠-


「尭って、のんの何?」


「え…じょ、上司で、」


それに構う事なく、矢継ぎ早に尋ねられてしまえば困惑するしかないでしょう?



「“で、”――の続きがあるの?」


「い、いえ…」


「うん。そーだよな」


ちょっと待って下さい。そのニッコリ笑顔に黒いモノが見えますけども。



というより私こそ、“上司”のあとに何を続けようとしていた…?



「さて…――尭くんとの熱烈チューは何回目?」


「へ、な、なんで」


「それ聞くの?」


どこまでも立場の低い自分に嘆く間もなく、腰をグッと引き寄せられていた…。


< 122 / 178 >

この作品をシェア

pagetop