この涙を拭うのは、貴方でイイ。-大人の恋の罠-
今までの人とのキスが消えるほど、こんなにも濃厚な口づけは知らない…――
「…これで尭の消毒は終了」
先ほどよりも銀糸を引いて離れた唇が、ヤケに心地良くセクシーに紡ぐから。
うっすら残っていたルージュが移った彼の口元が、さらに羞恥心をさらに押し上げる…。
「のんの身体はやっぱり素直だ」
「っ、ど…ーせ、素直じゃ…」
腰砕け寸前だった身体を抱き留められると、ハァ、ハァ…と肩で呼吸を繰り返す。
身体だけを評価する身勝手男に、ココでもまだ言い返そうとすればクスリと一笑された。
「だから。もっと、のんで満たして?」
「・・・っ」
ゾクゾクとした感覚が身体を駆け巡り、魅惑の香りのようにムスクが鼻腔をくすぐる。
もう何も考えられなくて、祐くんのスーツをキュッと握るしか無いのに…。