この涙を拭うのは、貴方でイイ。-大人の恋の罠-
サッと通話を終えれば緩めていたネクタイを締め、フゥ…とひとつ溜め息を吐いた彼。
既にベッドに移動して乱れかけの洋服に手を掛け、優しく整えてくれると。
“のん…、ごめん。
これから出張する事になったから、今度のんで満たして?”
そう身勝手なセリフと胸の高ぶりは置き去りに、マンションを出て行ったのだ…。
「――だから…祐くんは…」
「へぇ、のんにフォローされて風船男も形ナシね。
処理も出来ないままとなると、どーしたのかしら…」
「っ、柚ちゃん…!」
顔に似合わないアナタの大胆発言で、毎回聞き耳を立てられる身にもなって欲しい。
「美味しそうなのんを前に“お預け”喰らって、アイツも相当堪えた筈ね」
「おいしくないってば!」
フフッと実に愉快そうに一笑すると、どこまでも祐くんに冷たい姉は恐ろしい。