この涙を拭うのは、貴方でイイ。-大人の恋の罠-
身体の芯に残る特有の気だるさも、湿ったような自分の素肌にしてもだ。
どう考えても、どう払拭しようとしてみても。
まだ身体に残るアノ感触と、捕えられたままの状況が事実のようで…。
「ゆ、ゆーくん…、あの、ですね」
無い知恵を絞って考えた挙句、引きつり笑いを浮かべて状況確認をすることにした。
声を張ろうとしてひっくり返るとは、明らかに動揺がバレバレだけど。
「覚えてません、どうしよう?――って、顔に書いてある」
「え!あ、あー…、まぁアハハ…」
だというのに、私を抱き寄せて離さない色香を放つ男ときたら。
浅はかな考えなどお見通しで、グサリと図星をついてくるからイヤになる。