この涙を拭うのは、貴方でイイ。-大人の恋の罠-
そうです。あのツンドラ地帯在住のチーフ考案の賜物ですよ。
ああ悔しいけどね、尭くんは発言と見た目以上に凄いよね…。
「あれ、彼氏の事でしょ。嬉しくないの?」
すると素っ気ない声だったせいか、PCに向かう私を窺っている。
ニヤリと笑っているし、どうやらこのあとの反応が気になるようだ。
「いえ彼氏じゃないです。
ていうか、数日前以上に嫌われました私」
「…嫌われるって――誰が誰に?」
「私がチーフに、です」
「はぁ?何でよ?」
分かっていて聞かれている、とは承知していたクセに。
こうして自分で言うと、何だかチクリ、チクリと心が軋むから厄介だ。