この涙を拭うのは、貴方でイイ。-大人の恋の罠-
ああ、もう。なに身勝手な男に振り回されてるんだ…!
もう良いよ。イチイチ気にしてみても、向こうから嫌われているし――…
「あの…、すみません」
「あ、はい!いらっしゃいませ」
女性の柔らかい声で我に返り、ニッコリ笑みを浮かべて振り返った私。
「先日はありがとうございました」
「…え、えええ!?」
仕事モードへと切り替わった筈が、予想外すぎる美麗な2人の姿に目を見張った。
「え、と。大丈夫ですか…?」
「のん、ただいま」
「ら、蘭さん…と、ゆ、ゆー…くん…?」
二人の対照的な表情を前にして、上手く対処出来ずに困り果てるだけだ。
なにゆえ、祐くんと蘭さんがやって来たのですか…!