この涙を拭うのは、貴方でイイ。-大人の恋の罠-
だって。しつこいけども、小さな頃から祐くんの笑った顔にすこぶる弱いし。
アルコールのせいじゃない――このバクバクと早鐘を打つ鼓動がうるさいの。
「のん…、そろそろココ出ない?
“この前の続き”、ずっと楽しみにしてたんだけど」
「っ・・・」
一変した祐くんの声音が妖しく聞こえて、惹きつけられるように彼を見れば。
男の眼差しを向けてくるから、衝動的にコクンとだけうなづいていた私。
その刹那、にこりと最上級の笑顔で席を立つ彼に肩を引き寄せられれば。
“すでに車はマンションなんだ”と、そっと耳打ちしてくるとは用意周到。
ああ。だから初めから、マンションへ私を呼び寄せなかったのね――