この涙を拭うのは、貴方でイイ。-大人の恋の罠-
どうしようもなく腸が煮えくり返って、もうストップはかけられないぞ…!
「何なのよ!さっきから聞いてれば、勝手過ぎんのよ…!
私が自分の気持ちを自分で決めて、何が悪いわけ!?
確かに、祐くんにドキドキしたのも本当だし。
やっぱり…その、…抱かれてから、どうしようもなく意識したよ?
で、でもね。私は…あ、尭くんが良い。ううん、尭くんじゃないとダメなの!
祐くんと居る時だってチラチラどころか、ずーっと気になって、ずっと苦しくて仕方なかったの。
そうだよ!今日の朝だって。無視されてどれだけ悲しかったか分かる!?
直帰許可の連絡もくれずに…、どれだけ辛かったか…分かんないでしょ…っ」
今まで散々に、2人の男たちを身勝手だと思っていたクセに。
そういう私が一番、身勝手じゃないか。
泣いているのか、怒っているのか分からないくらい。
次々うまれる不満をまくし立てていれば。
「――ごめん…」
最後の締めのセリフを紡ぐ事なく、気づけばコチラへ来ていた尭くんの胸へと沈められる。