この涙を拭うのは、貴方でイイ。-大人の恋の罠-
そうなんだけど。私の答えは、もう…――
「…だから。人がせっかくアホ女と距離置いていたってのに」
「・・・え?」
私の反論をスルーした彼の言葉に、胸の中からメガネで覆われた瞳を知りたくて見上げれば。
「あの夜…バーに誘ったのは、最後のチャンスと考えて焦っていたのは認めるけど。
祐史さんと遭遇した日に、“やっぱ負けだ”と思ったたから手を引いたんだよ。
なのにアホ女の行動って、やっぱ読めねぇ――いいか、よく考えてみろ。
今から戻れば、祐史さんも許してくれるぞ。どうなんだよ?」
「…っ、まだ聞くの!?
私の気持ちは尭くんしかないもん…!だから、絶対行かな…っ」
まだ信じてはくれない尭くんのシャツを掴むと、フルフル頭を振って泣き喚いた。