この涙を拭うのは、貴方でイイ。-大人の恋の罠-
「やっぱバカだ、望未は…」
フッ…とひとつの吐息を響かせて、観念したように笑っていた尭くんが目に留まる。
「ホントにアホだろ。
アッチの方がリッチだし、絶対オマエに優しくしてくれるのに」
「もぉっ、また言うー…、んんっ」
泣きながらムムッと頬を膨らませた瞬間、クイッと顎先を囚われキスが落とされて。
2度のキスとは違った、性急すぎるその口づけが体内の熱を押し上げてしまう。
チュッ…と妖しいリップ音が響く中、割るようにして入って来た舌が歯列をなぞり。
力の抜けた私の咥内を荒々しく侵すから、ソレに堪えるだけ精一杯になってしまう。
「っふ、…んっ」
酸素を求めようと少し離れれば、その度に角度を変える尭くんに押さえ込まれて。
大きな手でグッと後頭部を支えられた私は、息も絶え絶えになす術もなくなる。
触れるだけの、一瞬だったキスとは大違い――