この涙を拭うのは、貴方でイイ。-大人の恋の罠-


まるで尭くんが胸の内に秘めていた熱をすり込ませるように、教えられている気がして。


とても離れられなくて。すでに熾烈を極めるキスで蕩けそうになっている自分がいた。



「っ、…え!?」


その刹那、グイグイと肩を押されて行き着いた先で、カクンと膝が折れ曲がれば。


最後のひと押しとでもいうように、トンと勢い良くソファへと身を沈められた私。


背後はブラックレザーのソファ、そして眼前には口元を拭っている尭くんの姿。



両者に挟まれ身動きが取れない中で、ガラステーブルにコトリとメガネを置く音が響く。



「物欲しそうな顔しすぎ」


いつものスクエアタイプの隔たりが無い彼が、ジッとコチラを見据えているから。


「ッ、そんな…ンンっ」


カッと紅潮しながらも否定しようとしたのに、動き始めた指先がソレを許さなかった。


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