この涙を拭うのは、貴方でイイ。-大人の恋の罠-


ああ今の私、女の顔なのかもしれない。


そう思わせるほど、尭くんが男のだもの。


いつもの子供のケンカムードはゼロで、ただ互いの熱を求めあうばかりだ。



「ふ…っ、あ、ん…」


無音の静かなリビングを取り巻くのは、瑞々しい音と熱の篭ったくぐもった甘い声。


ソファの下へと落ちている洋服たちに、ギシリと沈むスプリング音が、さらなる衝動をプラスする。



「…もぅ、だ…、め…」


「…ムリ。どれだけ我慢したと思ってんだよ?」


あまりの激しさにフルフルと頭を振れば、ポタリと彼の汗の雫と本音が降って来て。



「ッ、あああ…!」

すぐにグッと腰を引き寄せられれば、スパークしかけの私はまた高みへ上げられた。



昔馴染みとか、お互いの空白期間とか、上司部下の関係だとか。


考えてみれば、もっとも面倒な相手だと思うけど。



今となっては関係ない。とにかく欲しいのは、尭くんというヒトだけ――…


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