この涙を拭うのは、貴方でイイ。-大人の恋の罠-
「じゃあ、私のコト嫌い?」
「――嫌いだったら面倒みるかっての。
俺のアホは、望未だけで十分だ」
「ふふっ。それなら、ずーっとアホでいてあげる」
今までずっと周りの優しさに甘えて、その環境で生きて来た私だけど。
上司としても、人としても厳しい貴方のお陰で、ようやく一人立ちが出来たと思う。
「だけど。尭くんもね、煌さんから優しさを仕入れたら?」
「えー、望未ちゃん。煌ちゃんは優しくないよぉ」
「伽耶はウルサイって」
「あー、疲れる。アホに浸食されていく感じ」
「ちょっと尭くん!どーいう意味!?」
「ハハッ、そう言う意味だっての」
ビシバシ鍛えられながら、笑い合いながら、下らないケンカをしながらの毎日の中。
自分で答えを出して手に入れられた、苦手から大好きへと変わった尭くんとの時間。
日を追うごとに尭くんが大切になって、自分をもっと磨いてイイ女になりたいと思うし。
スパルタのお陰で?少しは強くなったけど。たまに泣きたくなる時も、やっぱりあるの。
そんな時には、貴方の力強い腕でギュッと抱きしめて欲しい。
それとポロポロ零れる涙も、その優しい指先で拭ってね…?
【この涙を拭うのは、貴方でイイ。★終】