この涙を拭うのは、貴方でイイ。-大人の恋の罠-
なけなしのプライドが、ダメンズによってすり減っている妹に対して。
すでに逆ハーレムを築いた姉いわく、“ダメンズ見つける審美眼がある”ようだ。
つまり要らない先見の目を持つ私は、毒舌な姉に男運のすべてを取られた訳で。
そんなダメンズ釣果人生においても、絶対にアノ日が一番の失敗だったと思う。
「・・・はぁ…」
祐くんとなぜか寝てしまった日から、早くも3日が過ぎた。
脳内が桃色で表現出来るくらい高ぶる心を、どうにか鎮めようと躍起で。
ああ、この感情とか色々どうすれば――…
「――溜め息つきすぎ」
「…え、あ、すみません!」
無意識に重いモノを吐き出していれば、頭上から響いた声に驚かされた。