この涙を拭うのは、貴方でイイ。-大人の恋の罠-
たまには可愛くぶってみたいのが、なけなしの女ゴコロだったりする。
というより、これはパワハラとセクハラのWパンチでは…?
「オマエが悪い」
「・・・はい」
この非道すぎるチーフには、痛がる“フリ”と感情まで見抜かれ、ハッと鼻で笑われる始末だ。
何ですか、ココでもまたドンマイ・私な雰囲気を味わうなんて…――
「まあ、今日は大目に見てやる。
寝不足なら今から銀座店ヘルプして来い」
「…銀座店、ですか?」
銀座と聞けば嫌な汗がツーと背中を伝うくらい、大苦戦を強いられている恐怖の地。
お店のヘルプと調査に出向く事は好きでも、ココだけは勘弁してほしいのだ。
「何だ嬉しそうに。ああ、そんなに行きたかったのか。
ほら、さっさと行って来い。対前日比アップさせるまで帰って来んなよ」
「・・・はい」
ソレを分かってるのに、私の様子を楽しんで薄笑いを浮かべる目の前の上司。
某読みすぎる言葉を連ねられれば、もうバッグを持つしか許されなくなる。
恭ちゃんの冷たい発言も尭くんと比べれば、雲泥の差の温かさと思えるし。
柚ちゃんのクールな発言だって、そこに愛情が感じられるから良い。
ただ祐くんに至っては、3日前のコトのせいでよく分からなくなった。
どうしてこうも周りには、個性が強すぎな人ばかりなのだろう…――